小説 · 2025年6月15日

惨蝕の罪が跋扈する

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思ったより長くなってしまって、サイトに載せるのが面倒なのでpixivからどうぞ…

下は解説(?)

❖ ざっくり時系列

・信濃国で一人の男が濡れ衣を着せられ、一族郎党が連座に処されたのち彼も処刑される。男の怨念は土地にとどまり続け、長く世を呪った
・男の遺体がその場に無造作に埋められた結果、時を経て治水工事の最中に発掘される(この間百年未満くらい)
・発掘された骨が人柱と誤認され供養されるものの、男の怨念は肉体とは乖離しているため成仏するということはなかった
・男による呪いは繰り返され、そのたびに連座にされた家族の魂がそれを鎮めてきた
(約千年経過)
・僧侶、善光寺文書保管庫で英霊召喚の儀を行う
・儀式自体がいびつだったため、悪霊と化していた男の思念とアヴェンジャークラスの器が適合、たまたま文書庫内にあった中国の書物と交じり合い窮奇が召喚される。この儀式により阿弥陀如来の法力が変質、聖杯として稼働し始める。
・阿弥陀如来と信濃の土地により、対抗力として武田勝頼が召喚される
・窮奇、聖杯の力を求めて善光寺如来のある本堂へ向かうが、阿弥陀如来が危機を察知し空間を隔離(聖杯のない裏の善光寺が出来上がる)、さらに如来は己の宝力を分割し、浜の善光寺と甲斐善光寺に一つずつ隔離させる
・窮奇を召喚した僧侶も、窮奇を打倒するために召喚された勝頼も裏の善光寺に閉じ込められる。窮奇は仕方なしに僧侶(の令呪)を喰らい力を得る。勝頼も喰われるが、直前に前足一本を落とし焼き潰すことに成功。邪魔者がいなくなった窮奇、使い魔の牛によって御戒壇を開き人を喰い始める。
・このタイミングでカルデアから武田晴信が裏の善光寺へレイシフト(勝頼との縁により裏の善光寺に出た)、本堂内で窮奇と遭遇し戦闘、腕を喰われる
・少し遅れて上杉謙信が本堂へレイシフト(晴信との縁により裏の善光寺に出た)、戦闘に参加するが撤退。お戒壇を通じて表の善光寺に転がり出る。(その後しばらくぷんすかしていたものの気を取り直してマスターとの合流までに情報を集めることに)
・窮奇に取り込まれたものの、前足として実体化させなければならないため晴信は魔力として完全消化されず意識は保たれたまま
・晴信、窮奇の内側で黒い影と遭遇。影は晴信と協力するつもりだったが窮奇との霊基の馴染みがよかったため窮奇に取り込まれる。影の特性を得た窮奇によって晴信は繰り返しの悪夢を見させられる。
・マスターと黒姫、善光寺平にレイシフト。途中で白い牛(男の妻だったもの)と遭遇、地蔵の念持仏を拾い、善光寺門前へ。謙信と合流。


❖ 解説

「男」
特異点の時代からおよそ千年前に、冤罪によって処刑された信濃の民。処刑に際し、一族郎党(妻、己の親、妻の親など)十名ほどが連座に処された。目の前で殺される親族の姿と怨念が土地に焼き付き、死した後も怨霊となって信濃にとどまる。自分の骨が供養されたことは認識していないものの、物理的に近い場所にあったので僧侶による英霊召喚の触媒になってしまった。なお処刑を決めた当時の国司たちは早々に死んだ。怨念は年月を経て無差別なものに変貌し犀川の氾濫や疫病の流行というカタチを取っていたが、そのたびに共に処刑された一族の残留思念によって鎮められてきた。

「僧侶」
魔術を学んでいた以外はごく普通の僧侶。代々魔術師(魔術使い)というわけではなく大陸経由で入ってきた魔術書を何冊か読んだ程度で、魔術刻印ももちろんない。好奇心で英霊召喚の儀を執り行ったのが運の尽きだった。

「窮奇」
中国は山海経に伝わる怪異。四凶の一ともされる悪神。善性を嗤い、悪心を賛美する有翼の虎/異形の牛。戦闘能力は虎のほうが高い。取り込んだ晴信が魔力を燃やして自分の力を削ごうとしたので対抗して晴信の心を折ろうとする。後述する本来のアヴェンジャーの特性も有しているので繰り返しの悪夢というカタチで晴信を苦しめた。なおここで見たものはすべて作り話かもしれないし、あるいはどこかの平行世界の情報をなんらかの形で引っ張ってきているのかもしれない。真相は闇の中。

「うしお(少年)」
冤罪で処刑された男の妻が宿していた子。まだ誰も懐妊には気づいていなかった。一度でいいから親の腕に抱かれたいという無垢なる願いが阿弥陀如来に聞き届けられ、少年の姿をとって現界する。物理的実体のない聖杯の器。阿弥陀如来の法力の容れ物となり、窮奇のもとへと運ぶ役割を果たす。記憶(というか願い)は長い年月の間に擦り切れ薄れていたが、法力をその身に預かることで少しずつ補修され、最後にはすべてを思い出した。

「白い牛」
 冤罪で処刑された男の妻だったもの。

「黒い牛」
 先触れの牛。窮奇の使い魔。

「聖杯」
この特異点にあっては聖杯に酷似した反応をしめす法力の塊、善光寺の絶対秘仏という神秘性と本尊阿弥陀如来の仏性から成り立つ何か。僧侶の英霊召喚の際に聖杯の特性を得てしまう。そのおかげで対抗力として武田勝頼を呼べたのだが、本来浄化と導きの力でしかないものが窮奇パワーアップ要因となったのもまた事実。万が一に備えて、信濃善光寺:浜の善光寺:甲斐善光寺=3:2:2の割合で分割・保管されていた(聖杯の雫をイメージしてください)

「阿弥陀如来」
善光寺の本尊、絶対秘仏。阿弥陀如来そのものではなく、どこかにある本体にリンクしている端末。端末でもものすごい法力を有する。阿弥陀如来だからね。死後も苦しみ続ける「男」を救わんとしているが拒絶されっぱなし。とはいえ彼がもたらす厄災を放置はできず、男の一族郎党の残留思念に法力を与え、その慰めになってやれと差し向けていた。カルデア一行のレイシフト後はそれとなく助力。お戒壇を通じて遠方の善光寺へ飛ばしたり、うしおに力を授けたりした。阿弥陀如来はすべてを救う。窮奇ですらその対象になる。ゆえに、自らが害なす行為をすることはない。事件解決後、法力の一部を聖杯としてカルデアに譲渡。

「武田勝頼」
聖杯(阿弥陀如来)によって召喚されたサーヴァント。クラスは騎兵。生前信濃を治めたという土地の縁と、妻子と共に自刃して果てたという末期が「男」と似通っていたため召喚された。本来ならば、父から受け継いだ武田の領国を最大まで広げた実力を誇る堂々たる態度だが、窮奇の中ではその反転特性により「戦国最強と名高い父の作り上げた武田を滅ぼした」ことをひたすら悔いている。(ぐだぐだ川中島での氏真みたいな感じ)。こうなると滅びの原因となった織田・徳川への恨みも生じそうだし、茶々のように復讐者適正もあるのかもしれない。

「黒い影」
復讐者、“この世すべての悪”。「男」とは生前の在り方が似ていたため、英霊召喚の儀の際に座が候補としてピックアップ。ただし術式が歪だったために「男」の怨念とたまたま文書庫内にあったいわくつき書物の情報が融合。入れ物(肉体)は窮奇、意思は「男」、“この世すべての悪”は復讐者としての器という複合霊基になってしまった。本来は自我もなかったが、武田晴信が取り込まれた折にカルデアのアンリマユとリンク。窮奇の内部でのみ、窮奇(と男)が認識できない自己を確立。特に深い考えがあったわけではないが、己を燃やしてまで窮奇に対抗する晴信を面白がってに興味を持ち協力を決める……はずだったが逆に窮奇に利用され、晴信の力を削ぐために繰り返しの悪夢を見させるための装置になる。なんてこった。

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